名木・巨木シリーズ(筑後エリア)=⑨柳坂曽根の櫨並木(やなぎさかそねのはぜなみき)=
■柳坂曽根の櫨並木(やなぎさかそねのはぜなみき)
→ 写真で見る櫨並木の四季 |
櫨(ハゼ)は、ウルシ科の落葉高木で、福岡、佐賀、大分をはじめ 九州各県と四国に多く植えられています。櫨がわが国に入ってきたのは、正保2年(1645年)中国船が桜島に漂着し、黄櫨及び裂蝋器を伝えたのに始まるといわれています。 灯明用にされていた蝋は、それまでは東北産の漆櫨(ウルシハゼ)に依存していましたが、手に入りにくいため、九州の各藩は競って櫨の栽培に力を入れました。久留米藩もこれを大いに奨励し、寛保2年(1742年)西久留米村鞍打や国分村などに櫨を植えさせました。 また、山守鑓水九左衛門を桜島に派遣して得た伝来の唐櫨苗(カラハゼナエ)を、 生葉郡山北村大野原(浮羽郡)に植え付けました。その後、筑後国御原郡寺福童村(小郡市)の内山伊吉が苦心の末、櫨の品種を改良して「伊吉櫨(イキチハ ゼ)」と称し、この地を中心に筑後一円に広く普及しました。 櫨がこの地方の主要特産物となり、米についで藩の財政に寄与したことは石原家記、久留米小史などに記されています。柳坂曽根の櫨並木は、永勝寺への参道の並木として、 また、兜山登山の並木として道行く人々に四季を語りかけています。特に秋の櫨紅葉は圧巻です。 |
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所在地 |
久留米市山本町豊田 |
保護制度 |
福岡県指定天然記念物(昭和39年指定) |
樹齢 |
不明 |
本数 |
約200本 |
形状寸法 |
樹高約5m程度、幹周り平均0.45m程度、 枝張り平均約6m程度 |
ハゼの実の収穫 |
ハゼの紅葉 |
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伊吉ハゼ |
松山ハゼ |
葡萄ハゼ |
昭和福ハゼ |
平迫ハゼ |
ヌメラハゼ |
展葉の色 |
赤色 |
- |
黄緑色 |
先端に赤味を帯びる |
- |
- |
果実の長さ |
8.4~10.2mm |
果実は小粒 |
10.0~11.4mm |
8.5~9.6mm |
果実は小粒 |
果実は中粒 |
含蝋分 |
25~30% |
25~30% |
35~38% |
35~40% |
32%程度 |
25%程度 |
木蝋の色 |
褐色 |
白~白黄色 |
白色 |
白色 |
褐色 |
- |
大病性 |
なし |
- |
あり |
あり |
- |
- |
豊凶性 |
少ない |
- |
やや著しい |
著しい |
- |
- |
出産地 |
福岡県 小郡市 |
福岡県 旧浮羽郡 |
和歌山県 志賀野村 |
長崎県 島原市 |
福岡県 旧嘉穂町 |
福岡県 筑紫野市 |
栽培の特徴 |
枝がよくしなり、採取しやすい。 |
痩せ地の栽培に適する。 |
実が落ちにくく、強風地域に適する。 |
実が落ちやすく、台風常襲地は避ける。採取しにくい。 |
枝がよくしなり、大きくならないので採取しやすい。 |
枝がよくしなり、採取しやすい。 |
従来 |
和ろうそくの原料として有名。木蝋の特性である粘靱性からビンツケ、ポマード、口紅などの化粧品の基剤、鉛筆の芯など文具、軟膏・座薬など医薬品の基剤、靴クリームや研磨剤など。 |
新開発 |
熱溶融性に優れることから新たな工業原料として応用範囲が大きい。環境に優しい自然な材料として見直される。 |
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(2012/4/24更新) |