破傷風菌
破傷風菌が引き起こす破傷風は、舌や手足のしびれといった症状を引き起こし、治療 が遅れると全身けいれんして、やがては死に至る感染症であり、破傷風菌は、世界中の土壌の中に、胞子の形で広く存在している嫌気性菌の一種です。 おも に、傷口から体内に侵入することで感染します。 傷口を不衛生のままにしておいたり、傷口内に異物を残したままにしておいたりすると、その感染率は飛躍的 に増大します。 とくに、発展途上国などの海外での怪我やイヌなどの動物に噛まれたとき、交通事故などで重傷を負ったときなどは注意が必要です。 また、 裸足で川遊びをしたり、裸足で小石などを踏んだりした際の小さな傷が元となる場合もあります。 感染してから発病するまでの、いわゆる潜伏期間は3日~3 週間ほどで、通常は1週間前後です。 治療法は、現在では確立されてはいますが、手遅れになると死に至る病であるため、予防が重要です。 もっとも有効な予防方法は、ワクチンの予防接種で す。 日本では、小児期に三種混合ワクチン(あるいは二種混合ワクチン)の接種を行っていますが、1994年の予防接種法の改正により、義務接種から責務 接種に変わっているため、受けていない人もいると思われます。 また、ワクチンによる抵抗力の持続期間は10年と言われています。 抵抗力のあるうちに再 感染を受けると抵抗力が維持されますが、現在の日本の衛生状態では、このようなことはほとんど無いと思われますので、小児期予防接種を受けている場合で も、20歳頃に追加接種を行った方が効果的といえます。 ただし、予防接種法が改正されたように、不活性とはいえワクチンを体内に投与するため、リスクが あることも明記しておきます。 農林業など野外が仕事場であるとか、山野でよく遊ぶとか、園庭では裸足で遊ばせるといったような生活環境であるならば、破傷風の危険性も十分に気にとめ ておく必要があると思われます。 とにかく、野外で怪我をした場合には、速やかに流水で洗い流し消毒することで傷口を清潔にし、その後も清潔にしておくこ とが重要です。 問題なのは、破傷風菌が嫌気性菌であるため、不用意に傷口を閉じてしまうとかえって増殖を招くことなのです。 怪我の状況やその後の経過 によっては、早めに医師に相談されることをお奨めします。 |