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高性能林業機械による列状間伐②

列状間伐の長所と短所　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
長所
１ 間伐期の選木、材積調査、間伐後の跡地調査などが簡素化され、能率的です。
２ 伐倒に際し、かなり木になりにくいので、能率的で安全です。
３ 全土集材が安易なので、土場や作業道上でプロセッサによる造材ができます。
４ 間伐木に価値の高い優勢木も含まれるので、間伐収入が大きくなります。
５ 間伐作業が画一的になり、作業が標準化され作業効率が向上します。
６ 林地への影響を少なくできます。

 

短所
１ 間伐後、残存木に不良木が残りやすくなります。
２ 伐採列に面した残存木は、樹冠の偏り成長があり、雪害等を受けるおそれがあるといわれています。

短所を補う方策

１ 残存列においても不良期を選木、伐倒して林分の健全性を高めます。
２ 土壌条件の悪い（地位が低い）ところ、積雪の多いところ、強風の当たるところなどでは、弱度の間伐にとどめる（列幅を空けすぎない）べきです。

　列状間伐の最大のメリットは、プロセッサ、タワーヤーダやスイングヤーダなどの高性能林業が活用でき、能率の大幅な向上とコストダウンが図られ、作業経費を間伐材の販売で補ったり、収入を得ることもできることです。
　ただし、小型機械を使用したり、間伐率が悪い場合はあまりコストダウンは期待できません。
　一方、列状間伐の最大のデメリットは、劣性木から優勢木まで同じような割合で残存木として残るため、優勢木の残存割合が少なくなり、優良材生産を考えた 場合は不利になることです。このため、劣性木が多く残存する林分では、数回下層間伐を実施して、劣性木を取り除いた後に実施するか、列状間伐と下層間伐を 組み合わせて実施するのがよいでしょう。
間伐方法の違いと作業の能率（研究成果から）
間伐方法の違いと伐倒時間　１本あたりの伐倒時間は、列状間伐が25秒、定性間伐は40秒でした。
　列状間伐は、機械的に列方向に倒せばいいのに対し、定性間伐は掛かり木に注意しながら伐倒方向を慎重に決めなければならないためと考えられます。
　主索式のタワーヤーダで集材する場合の作業効率は、下表のとおりで、列状間伐が定性間伐に勝っており、搬出コスト低減に有効な間伐方法と考えられます。
表－作業効率
横移動 荷掛け 横取 合計 本数 材積 効率 効率
秒 秒 秒 秒 本 ｍ3 本/時間 ｍ3/時間
定性１ 449 142 818 1409 17 4,087 43.4 10.4
定性２ 276 294 580 1150 15 4,273 47.0 13.4
列状１ 507 59 61 627 17 6,635 97.6 38.1
列状２ 326 322 368 1016 18 4,087 63.8 14.5

 

間伐方法の違いと残存木の胸高直径階（研究成果から）
　定性間伐では直径の小さい方の本数が減っているのに対し、列状間伐はいずれの直径階もほぼ均等に減少しています。優良材生産を目指す場合は、数回の下層間伐実施後か、残存列の劣性木も併せて伐採するのがよいと考えられます。
間伐方法の違いと残存木の胸高直径階

 

気象害等について（研究成果から）
枝の伸長率　列状間伐は、風雪害を受けやすいのではないか、また、伐採列に接する木は偏奇成長をするのではないかと危惧されています。
　 しかし、今までの実行事例によると、風雪害において特に顕著な被害の報告はありません。また、列状間伐を行った場合、残存木の伐採列側の枝は、光環境が改善されたため伸長率が高くなり大きく成長しますが、樹幹（材）の偏奇成長は認められませんでした。
　列状間伐は残存木の保育を考えた場合、成長に対する間伐の効果は安定間伐と同じであり、材の偏奇成長もみられないことから、有効な間伐方法と考えられます。
林緑木と林内木の４方向の半径