福岡県の低標高地は、スギやヒノキの人工林、竹林、海岸マツ林などを除くと、いわゆる常緑広葉樹の森になります。秋に落葉しない常緑広葉樹の森は、春、新芽が伸びると同時に古い葉を落とし、生き生きとした表情に生まれ変わります。
この時期、山では黄金色の葉っぱを見ることが出来るのを、みなさん、ご存知ですか? 遠目には光って白っぽく見えるだけですが・・・近付いてよく見てみましょう。
こんな黄金色に輝く葉っぱ、見たことありますか?絵の具で塗ったわけでも、作り物の葉っぱでもありません。れっきとした本物の生きた植物の葉っぱです。 この植物の名前は「シロダモ」と言います。名前は葉の裏が粉を吹いたように白くなることに由来するようです。このシロダモは、クスノキ科シロダモ属の常緑高木で、県内の標高の低い山にはどこにでも生えている、特に目立つ樹ではありません。 普段目立たないシロダモですが、この時期だけは違います。伸び始めた新芽はまさに黄金色の葉っぱ。風に揺れてキラキラと輝いて見えます。 しかし、新芽がなぜ黄金色をしているのでしょうか? シロダモの新芽をよく見ると、黄褐色のビロード状の毛でびっしり覆われています。そう、新芽が黄金色に見えたのは、黄金色の毛に覆われていたからです。 シロダモに限らず、植物の葉をよく見ると、若い内は葉の表面に毛が生えているものが多々あります。それは大事な柔らかい新芽が、虫に食べられてしまうのを防ぐためだと考えられています。シロダモの新芽を覆う黄金色の毛も、同じ作用があると考えられます。 新芽が伸びるにつれて黄金色の毛も徐々に落ちていき、いつの間にか周りの樹と変わらない緑の葉っぱになってしまいます。この時期にだけ見ることの出来る黄金色の葉っぱ、みなさんも探してみてはいかがでしょう。
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