フィトンチッドの不思議 都会の騒がしさに疲れきった心身を森の中に浸し、野鳥のさえずりを聞き、木々のみどりを楽しみながら歩けば、そこにはたとえようのない素晴らしいにおいが ただよっているのにお気づきでしょう。 このにおい-森の精気-を体いっぱいにあびて心身ともにリフレッシュする、これが森林浴なのです。 森林の香りの源はフィトンチッドです。フィトンチッドとはロシア語で、フィトンは植物、チッドは殺菌という意味です。フィトンチッドは、植物が微生物から 身を守るために作り上げてきたものといわれます。森林には動物の死骸などの堆積がありますが、フィトンチッドの抗菌作用や消臭効果のおかげで臭いが感じら れないのです。 |
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テルペンの働き フィトンチッドの成分は主にテルペンとよばれる揮発性の油(精油)です。テルペンは種類が多く、例えば、クマリンは桜もちに使われる桜の葉に含まれる精油 で、独特の甘い香りがします。テルペンは、消臭・殺虫・抗菌作用があり、クスノキからつくられる樟脳(防虫剤)や、握りすしに敷かれたヒノキの葉など古く から生活のなかで利用されています。 さらに、植物が放出する物質にはフィトンチッドも含まれています。 森林浴の場合には、数多いフィトンチッドのなかでも、大気中を飛びまわっている揮発性のフィトンチッド、つまり森のなかでは樹木から発散されるにおいの主 役「テルペン」が「フィトンチッド」として飛びまわり、空気を清らかにし、わたしたちの気分をさわやかにしてくれるのです。 森林浴の効果 わたしたちの健康づくりには「三浴」とよばれる方法があります。 1.水浴は一般家庭の入浴・海水浴・温泉浴など、2.日光浴はその名のとおりで、3.大気浴は海や森のなかの空気浴です。 このなかで森のなかの大気浴が「森林浴」なのです。森にはわたしたちのからだの疲れをいやし、心身をリフレッシュさせてくれる働きがあります。 森の空気がすがすがしくさわやかなのは、フィトンチッドの効果のほかに、木々の葉が大気を汚している物質を吸着し、空気を浄化し、光合成により新鮮な酸素をたくさん放出するからです。 |
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