■黒木のフジ | ||||||||||
フジは、マメ科の落葉の木本性つる植物なので、東アジアと北米に約10種が分布しています。藤づるの繊維からつくった藤布はじょうぶなので、山村では長い間愛用されてきました。また、フジはつる状で蛇に似ており、不時に通ずるとして屋敷に植えるのを嫌われてきました。 一方では、フジの花は垂れ下がる形から稲穂を連想させ、豊作を予兆する神聖な木ともされました。なお、ヤマフジはフジに似ていますが、花穂がやや短く、花の色がやや淡くて、つるが左巻きになっています。 このフジは、後征西将軍良成親王のお手植えのものと伝えられ、その後大友氏の兵火によって焼損し、さらに黒木町の大火にもあうなど数々の火災に見舞われま すが、幸い今日まで生存し年々開花しています。花は4月下旬から5月上旬に咲き、満開時は幾千万の花房が1mほどに伸び、 黒木城趾を背景に矢部川の渓流に映える、山・水・花の調和は見事なものです。 当木は、地上2mのところで2本の太い枝に分かれ、無数の枝が藤棚の全面にひろがっています。 この他にも、なお数本の支幹があって根元は複雑な渦巻状になっており、他に類を見ない巨大な紫藤の老樹です。 |
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